退職後すぐに次の就職先が見つかっていない場合、必ずやっておきたい手続きの一つが失業保険の申請です。
この申請をするかしないかだけで、何もしなかった人と比べると給付金としてもらえるお金が何十万円と変わるからです。
新たに就業先を探す時にお金のことは心配せずに探せるように、と給付されるのが失業保険です。
ですが、給付される手続きをしただけでは数ヶ月分(90日程度の方が多い)の収入が確保できるだけのもの。
それだけで、今後の生活をずっと保障してもらえるわけではありません。
お金がなくては生きていけないので、アルバイトでも正社員でも収入を得る方法を手に入れなければなりませんよね。
でも、そんな時ふと頭をチラつくのが、「失業保険は受給期間満了まで全額もらった方が得なのか?」と、もう一つは「受給期間中でもすぐ就職した方が得なのか?」ということ。
実際のところは、その人の考え方と価値観によるというのが結論です。
でももらえるものは貰っておきたいと思うし、なるべく早く収入を得る手段を見つけておきたいと思うのも人間心理。
なので今回は、グレーなことは一切抜きに制度として問題ないことを大前提に、
- 失業保険は受給期間満了まで満額もらった方が得なのか
- それとも受給期間の途中でも就職した方が得なのか
を考えてみました。
失業保険の給付は全部貰ってから就職した方が得じゃないか?と考える人
失業保険は、言葉悪く言えば働かなくても受けられる給付金です。
次の仕事を探すための、求職活動をしていれば制度としても問題ありません。
そうなると、せっかく働かなくても(正確には就職する意思は必要ですが)給付金をもらえるんだから、全部貰ってから就職した方が得なんじゃないの?という声が良く聞こえてきますね。
この疑問の明確な答えは出なくとも、言えることは先程も言ったように「人それぞれ」ということです。
なぜなら、人によって考え方は全く違うし、状況も全然違うから。
とにかく働きたくねぇ~なんて思う人がいるのは事実で、そういう人は「せっかく前の職場を退職して得た権利なんだから全部貰わないと損だぜ!」と思うはずです。
そういう人にとっては、何が何でも失業給付期間は満了になるまで貰ってから、次に就職した方が得だ!と思うでしょう。
失業保険の給付を貰うより出来る限り早く就職した方が得だ!と考える人
先程とは打って変わって、とにかく早く就職がしたい、せっかくもらえる失業保険はありがたいけど、それよりもとにかく早く就業先を見つけたい!と思っている人にとっては、
失業保険をもらうこと < 再就職すること
となるため、失業保険の給付よりも就職した方が得だと言い張るでしょう。
でもこれには一理あります。
なぜなら、失業給付は期間満了になればそれで終了です。
もしこの時に働き口がなければ、新たにお金を得るための方法を探して得なければなりません。
一方、失業保険の給付よりも就職することを優先した場合、ちゃんと次の働き口が見つかれば、例え失業保険が途絶えても自分が仕事を辞めるまで収入が途絶えることはありません。
また、ある人は再就職手当がもらえるから就職した方が得だよ!、と説明を受けた人もいるかもしれません。
再就職手当とは
ここでは簡単にだけ説明することにしておきます。
再就職手当とは、失業給付金を受給している期間中に再就職が決まった場合、いわば就職おめでとうのお祝い金としてもらえるお金のことです。
働き口を見つけて失業給付がなくなっても再就職手当がもらえるんだったら、就職してお祝い金をもらった方が得だと思ってしまいそうになりますね。
でも、この手当てを受けるためには諸条件がありますし、もらえる額も通常の失業保険としてもらっていた1日の額の50%や60%程度になっています。
【再就職手当の給付額】
給付残日数が所定給付日数の1/3以上、2/3未満であれば基本手当日額の60% × 給付残日数
給付残日数が所定給付日数の2/3以上であれば基本手当日額の70% × 給付残日数
給付日数が90日間だった場合、1ヶ月以内(30日間以内)に次に就業先を決めれば70%、1ヶ月を超えてからだと60%ということです。
自分的に一番ベストはどこか、上記のことを踏まえて考えることが一番賢明だと言えるでしょう。
実際にシュミレーションしてみました!
言葉悪く言えば、ルールで決められた就業活動を月に2回行っていればもらえる失業保険ですから、それなら期間満了になるまでもらった方が得じゃないの?と思ってしまう気持ちも分かります。
就職しなければ満額もらえて、就職して再就職手当としてもらう場合は1日の給付額の50%~60%なので、なおさら期間満了まで貰う方が得やん!となりそうです。
確かに、「失業保険でもらえる額」だけに焦点を当てて考えるならば、期間満了まできっちり貰うことが一番得と言えば得です。
ですが、結果的に自分の考えによって大きくとらえ方は変わってくるので、実際にどれくらいもらえる額が変わってくるのかシュミレーションをしてみました。
条件はシンプルに下記です。
- 前職の月給は20万円
- 再就職した会社の月給も20万円
- 失業給付期間は90日間
- 1日の給付額は5,000円として計算(ホントはもう少し少ないはず)
- 45日分の給付を受けてから就職
- 残りの45日分の再就職手当がもらえることに
実際とは少し多少誤差のある額ですが、分かりやすいように上記で計算します。
受給期間満了まで貰った場合の受給額
単純に1日5,000円の受給額が90日間分もらえる計算になります。
ということは、
で、受給期間満了まで失業保険をもらえば45万円がもらえる額となります。
45日分受給後に就職した場合の受給額
45日分の給付をもらった後に就職した場合にいくらもらえるかを計算します。
給付日数は90日間ですでに45日受給しています。
なので給付残日数も45日です。
ということは、給付残日数は3/1以上、3/2未満となり、再就職手当でもらえる額は50%分となります。
以上を持って計算します。
就職するまでにもらっていた額は、
5,000円 × 45日 = 225,000円
です。
そして就職したことでもらえる再就職手当の額は、
となるわけです。
最終的には、
受給額だけを見てみると、受給期間満了まで失業保険をもらった方が額は大きくなります。
失業保険だけに目を向ければ、期間中に就職してしまうよりも就職せずに期間いっぱいまでもらった方が、額が大きいのは目で見て明らかですね。
早く再就職した方が、貰える額が大きいと説明を受けたという人
ハローワークなどで説明を受けていると、「早く再就職した方が、最終的に貰える額が大きくなるよ!」なんて、断片的な言葉だけが耳に残ってしまう人もいるかもしれません。
上記で説明した通り、失業保険で貰える額だけに限って言うと、給付を期間いっぱいに貰った方が確実にもらえる額は多いです。
では、なぜ再就職した方がもらえる額が多いと言われるのか。
それは、再就職したところから支払われる給料分も加えているからです。
先程の話を例に出すと、再就職先の給料も20万円としました。
もし、再就職しないままに期間いっぱいまで失業保険の給付を受けた時にもらえる総額は
ですね。
一方、45日間は失業保険の給付を受けてから就職、その後再就職手当をもらったという場合は
<就職するまでの失業給付>
5,000円 × 45日 = 225,000円
<再就職手当>
先程計算した通り、135,000円
合計で360,000円がもらえる給付額です。
ハローワークではこれにプラスして、再就職先でもらえる給料も上乗せした話しをしてきます。
下記のような感じ。
<再就職先で支払われる給料>
1ヶ月20万円なので、45日間働いたとして300,000円
最終的な総額としては、
という計算をしてきます。
そして、90日間で総合計してもらえる額としては、再就職した方が20万円ほど貰える額が多いよ!と言ってくるわけです。
「いやいや、働いているか働いてないかの差があるやん!」と突っ込みたくなる場面ですが、これが世間で聞く、再就職した方が得!と言われるカラクリですね。
再就職した場合は働きに出て自分の時間を捧げているわけですから、一概にどっちが良いとかは決められないものだと言えます。
失業給付とともに転職のための準備を進めていくのが大切!/ まとめ
失業保険を満額受けた方が良いのか、出来る限り早く再就職した方が良いのか、どちらが良いのかは人それぞれだと理解してもらえたと思います。
でも、満額もらえる方が得だからもらう!と言ってもいずれ失業給付は終了します。
その時に他に収入を得る手段がなければ就職するなりアルバイトするなり、お金を稼ぐことを早急に見つけなければなりません。
それならば、失業保険の手続きと同時並行して、転職のための準備も始めておいた方が良いのは言うまでもありませんね。
そう考えてみると、いずれ終わる「失業保険を満額もらうこと!」に固執するよりも、自分に合う素敵な就職先が見つかったのであれば、例え多少給付額が少なくなったとしても、就職した方が良いと言えるのではないでしょうか。
だって、数ヶ月だけもらえる失業保険よりも、この先何年もしかすると何十年働くかもしれない働き口が見つかることの方が何百倍も大事ですからね!
とりあえずでも出来ることは転職サイトに登録しておくこと。
僕が実際に利用したこともあるおすすめの転職サイトはこちらの記事でまとめてみました。
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とりあえずの気持ちで登録しておくにも、得することはあっても損することはありませんよ。
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